昭和の脱獄王・白鳥由栄に学ぶ行動力(前編)

 目標があったり、現状を変えたい人の中には「今の現状では難しい」、「無理かもしれない」と思っている方もいるかもしれません。

 正直、私もブログを始めてからも、それ以前にも同じように思うことが今でもあります。

 しかし、歴史を振り返ってみると、実現困難な状況下で大変な労力を伴うプロジェクトを達成した方々がいるのも確かです。

 今回は刑務所という絶望的な状況から生涯4度もの脱獄を果たした「白鳥 由栄」という人物について2回に分けてお伝えしようと思います。

白鳥 由栄とは?

  「昭和の脱獄王」と呼ばれた人物で、1936年から1947年の間、生涯4度の脱獄を果たした人物です。

 彼は生涯で殺人を2度起こし窃盗なども行いました。当然ながらこれら犯罪行為や脱獄・逃走行為自体は到底許されるものではありません。ただ、彼が脱獄した時は決まって人間を人間として扱わないような意地悪な看守が当番の時であり、反対に優しく一人の人間として接してくれた看守が当番の時は脱獄しないというポリシーも持っていました。

 なお、脱獄中は生き延びるために食糧や物資を盗んでいたものの、主な調達先は闇成金の家からだったとのことです(それらの家なら盗みを発見しても警察には届けないだろうという算段の上であり、読みが当たったかは定かでないものの、事実届出はなかったとのこと)。

 また、府中刑務所収監時に慈善団体が慰問し、団体の会長が白鳥へ小鳥を一羽差し入れした際、大事に育てていたものの、ある日、収監された自分を見ているようでやりきれない思いが込み上げ、「自由な大空に逃してあげたい」という思いから逃してあげたというエピソードもあります。

 ちなみに、人気漫画「ゴールデンカムイ」の「白石 吉竹」のモデルになった人物です。



4度の脱獄とその理由

 4度の脱獄方法をざっくり順を追ってみると以下の通りですが、そもそも白鳥を脱獄に駆り立てたものとは何だったのでしょうか?

 ※彼の特殊な体質で脱獄できたところもあり、刑務所も時代と共に様々な変化を経ているため再現性は限りなくゼロに近いです。

⚫︎青森刑務所収監時

・ある日汚物を外に捨てる際、看守の目を誤魔化し刑務所の廊下で針金を拾ったのち、隙を見て掌で独房の鍵穴の型を取り、何日もかけて針金を曲げて手製の鍵を作成。独房だけでなく、舎房、非常門(裏門)も同じ鍵で解錠できたため脱獄。

 脱獄理由・・・7か月もの間未決監生活に飽きてきたこと及びどうせ重刑に処せられるものと知り、どうにかして一度娑婆の風に当たりたかったため

⚫︎秋田刑務所収監時

・収監された鎮静房の壁を両手両足でヤモリのようによじ登り、天窓の枠からブリキ版と釘を入手。ブリキ版に釘を打ち付け手製のノコギリを作成し、数日をかけ天窓の木枠を削っていく。そして、その先にある天窓の枠を予め外せるようにしておき、ある暴風の夜に天窓を頭突きで外し脱獄。

 脱獄理由・・・秋田刑務所の酷い扱いと役人の横暴な態度に腹を立てたことから何とか役所(司法省)に直訴したいと思い、小菅刑務所時代によくしてもらった小林良蔵氏に会って話をするため

⚫︎網走刑務所収監時

・太い鎖で繋がれた手錠・足錠をはめられた状態で扉に取り付けられていた5本の鉄棒が縦に溶接されていた視察口(縦20cm×横40cm)にある鉄枠の隙間及び手錠・足錠のボルトに食事で出された味噌汁を腹ばいになりながらも口に含み、半年余り垂らし続けボルトを浮かせ、次第に強く揺するとズレるようになり、外すことに成功。ある日の夜に鉄枠と自らの肩を外し視察口を脱出、再び肩を入れて扉の横桟を伝って天井へ登り、採光窓の硝子等を破って舎房を脱出。一度地上へ降りてから煙突の支柱を引き抜いて梯子がわりにして外堀を登って脱獄

 脱獄理由・・・生死を彷徨うほど過酷な環境(冬は極寒の中で単衣の着物のみ、夏は暑い綿入れを着せられた状態に加え、手錠・足錠もつけられた状態でそこから蛆が湧いていたとのこと)であったため

 ちなみに、網走刑務所は現存しておりますが、白鳥が過ごした当時の建造物は別の場所に移転し、現在は博物館として一般公開されております。機会がある方は是非!

 博物館網走監獄:https://www.kangoku.jp/

⚫︎札幌刑務所収監時

・看守らは白鳥のこれまでの脱獄を分析し、天井、採光窓、鉄格子等を補強。しかし、白鳥が目につけたのは床下で、ゴザの芯を抜き床板の隙間から差し込んで床下が土であることを確認。そして床下を切り抜くための道具として、洗面用の桶にはめ込んであった鉄タガと、取調室で調べを受けた際、わざとよろけてガラスに留めてあった釘を服の袖に忍ばせ入手。秋田刑務所の時と同様に手製のノコギリを作り、正座した状態で内股に鋸を隠しながら貧乏ゆすりをする格好で切り進めていき、ある日の夜に素手と食器で地面を掘り進め、刑務所内の地上へ出たのち、塀の高さの3分の2ほど雪が積まれていた雪捨て場を踏み台に塀を乗り越え脱獄

 脱獄理由・・・死刑判決が出たことで心の焦り、動揺があったため

次回予告

 後半では私が白鳥 由栄に抱いた感想、そして我々は彼から何を学べるかについて綴ってみようと思います。よろしければ読んでいただけると幸いです。 

↓今回参考にさせていただいた書籍


 


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